寄らば大樹の・・・どこか2

その日その日感じたことを書いていくみたいな。たまに変なこと書くときもあると思いますが馬鹿だなと思ってスルーして下さい。

音楽と民族主義の融合

私は常々国民楽派といわれる作曲家が好きだ。音楽にナショナリズムを吹き込むその技法に惚れ惚れする。国民楽派とはすなわち自国の民謡や音楽形式を取り入れたなかで、自国の民族主義が色濃く反映されている楽派である。言うなれば、その根底に民族という概念を含むといっていいだろう。
国民主義フランス革命に始まるナポレオンの出現による諸民族の開放と、旧体制とするウィーン体制の下での独立運動が民族というものを自覚させた。そうした新たな秩序の芽生えは1848年革命だけではなく音楽に影響を及ぼすのは至極必然。かくして旧体制で押さえつけられた民族的なアイデンティティーを取り戻すように自国の音楽文化に重きを置いた国民楽派といわれた作曲家達は、自分たちの民族というものを政治、文化それを主体として何者にも左右されない価値観を求めていった。音楽でアイデンティティーを表現するにあたっては、やはりそれは独自性が高く、音楽芸術の新たな伝統の誕生と、地域的広がりの形成において、特筆する転機となった。
さて、前置きが長くなりそうなのでまあ要するに私が好きな国民楽派といわれる作曲家の曲を紹介したいだけのこと。この曲が好きだ。
グリンガ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
グリンガの作品のなかではよく知られていると思う。プレストのテンポで押し通すこの曲は、速く演奏させなければこの曲自体を台無しにすることになる。軽快かつ流れゆく旋律はどことなくドイツロマン主義の影響が伺え、第2主題はニ長調からヘ長調に変わりロシア的性格が顔を覗かせてる。悪魔に連れ去られた古代ロシアのキエフ公の公女リュドミラを騎士ルスランが救い出しめでたく結ばれる大団円な歌劇。
私はそういう筋書きが大好きです。おとぎ話に民族的素材をちりばめた作品はロシアという民族的なものを一層洗練させた。ロシア音楽とはこうだという主張がこの曲を通してしひしひと伝わってくるという言葉でしかこの曲の表現が難しく、簡単に言ってしまえば、さすがはロシア近代音楽の祖とだけしかいえません。が、聞いてみれば理屈なんてどうだっていい(この言い方は他の曲でもやたら多用するが笑)。ただただ、その曲がいい曲だと。私はチャイコフスキーばかりいってますが、実はそんなことなかった。そのチャイコフスキーが影響を受けた作曲家の曲だ。果然お勧めする。
それともう一曲のおすすめを
スメタナ 交響詩「わが祖国」第4曲:ボヘミアの森と草原より
モルダウという曲はもしかしたら名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう。曲自体、中学での音楽の教科書にも載っているし、私の携帯の着メロにもありましたから。
わが祖国という題名からしてこれが民族的伝統を重視する国民楽派とまるわかりです。スメタナボヘミアの自然や伝説を題材にそれを6つの曲とし、祖国ボヘミアの想いを音楽で奏でるとはなかなか味なまねをする作曲家だと最初の印象。実は国民楽派という言葉はスメタナの音楽で教わりました。モルダウボヘミアを南北に流れるモルダウ川の姿と周りの景観、人々の生活がそれはそれは想像豊かな音楽技法での表し方はクラシックに興味がない友人でもあのフルートからヴァイオリン、オーボエの音色でしょうか、「いい曲」といっていました。誰の感受性にも受け入れられる万民の曲だなと今でも勝手に思っています。
あーそれじゃあボヘミアの森と草原よりって何というと、わが祖国の6曲のうちの4曲目です。モルダウは2曲目。モルダウは知ってるけど他の5曲が知らないというならすぐにでもわが祖国のクラシックCDを買って下さい、聞いて下さい。モルダウがいい曲というならば他の曲もいい曲だと思うでしょ? ねっね?(笑)。
実は私、モルダウよりボヘミアの森と草原よりのほうが好きです。なぜなら、この曲が一番「わが祖国」という題名らしいからだ。とりあえずそれだけいっておく。題名からボヘミアの自然を讃えているのは明確だ。ちなみに古来よりヨーロッパ社会で森は畏怖の対象であった。森の奥に踏み込めば妖精、精霊、異教の神々の住まう畏敬に満ちた世界であった。つまりなんだかおそろしい場所。説話や民話のなかのおそろしい森のイメージはグリム童話からも読みとれる。ゲルマン人の慣習法では森に追放されることは死刑同等の意味があったそうな。森は共同体のなかで生きていく中世の人にとって暗く、不気味なおそろしい世界であったわけである。なんだか、最初は鬱蒼とした森を表現しているこの曲を聞いているとそんな森のイメージが湧いてきてしまう。私たち日本人の感じている森とヨーロッパの森とのイメージを思い浮かべ、比べてみるとちょっと面白いかもしれません。さて、その後なんだかのどかな木管の音色は自然に差し込んでくる光を連想させます。それはそこが平和だと強く主張しているかのようです。終盤は盛り上がります。活力あふれだす民族舞踊。もう舞踊って言葉をオーケストラを使うとここまで躍動感をだせるものなんだなぁと感動しました。トライアングルに注目して聞いて下さい。トライアングルの音色、迫力がありますから。
ざっくばらんにボヘミアの森と草原よりを説明したつもりです。なにぶん感受性の違い(それ以前に言葉自体間違ってるかも)で間違ってる部分もあるでしょうが、自国の音楽文化の再構築として・・・そうだ、国を愛するが事こそ、私は国民楽派と呼ばれる作曲家が大好きです。誰しもが愛国心はもつもので、作曲家はそれを音楽で表現できるんだから、私なんかそれは素敵だなあ、羨ましいなあと思ってしまうのです。昨日、久しぶりにこの2つの曲を聞いて、ついだらだらと曲の思いを書いてしまいました。ほんのわずかでも曲とか関心もってくれたのであれば・・・私は嬉しい、嬉しいよー♪