寄らば大樹の・・・どこか2

その日その日感じたことを書いていくみたいな。たまに変なこと書くときもあると思いますが馬鹿だなと思ってスルーして下さい。

なるほど、いい百合だ・・・

横山三国志だけじゃない。私はこんな漫画も読む。今回はそれを紹介したいと思う。


citrus (なんか画面暗い。撮り間違えたな)

これがどんなジャンルなのかは説明するのは野暮というもの。百合漫画だよ、百合!! 親の再婚の都合上女子高に転校してきた主人公藍原柚子と女子高の生徒会長藍原芽衣は義理の姉妹。二人は性格とかがかみ合わないながらも、芽衣の柚子にしたキスをきっかけに話が切り開かれる。柚子はキスで精神的に動揺し続けていくも、大胆に柚子にキスした当の芽衣はあくまで心を開かず孤独を貫き通している。そんな孤独に苛まれているかのような芽衣から何とか話を切り出し、真実を知ろうと躍起になる柚子であったが・・・あとのあらすじを知りたければ実際読んでみろってんだ。

まず結論から言いますと、大変絵柄がいいです。本当に上手といった画力の高さです。それは表紙絵からも察することが容易ですが、表紙絵と中身の絵の相違はありません。よく同人誌では表紙だけの絵がうまくて、中身の話の絵が手抜きだというものが存在しますが、ことにこの百合漫画はそんな同人誌とは明らかに一線を画す。プロとアマの違いというか商業誌と同人誌の格の違いが見せつけられたものであり、金を払って納得できるほどの絵柄のよさでした。ホント食指が動いてたまりません。

ただ、ストーリーというか物語の進み具合には「?」と思わせるような不自然なものでした。あまり頭で考えず、登場人物の行動選択は全てノリに支配されているというような話に脈絡がないというか、唐突すぎて一つの話が勝手に終わってしまうので、読んでいたこちらとしては何か取り残された印象を受けました。読者のストーリーに対する感じ方、思い、どうなるのだという期待、探究心を置いてきぼりにしている気がします。要は読者の心情といったものに重点を置かず、あろうことかそれをぶつ切りにしてしまい、いきなり次の展開に入る。だから内容が薄っぺらいし、単調な紙芝居のようなものでもありました。

うーん、でもね。登場人物の言葉での感情表現、心理描写はなかなかでした。一時の感情でキスをしたり、押し倒したりする瞬間最大風速には流石の私(何が流石なんだか…)もドキッとしましたし、時間が一瞬止まったような錯覚を起こしたものです。ストーリーは淡泊かもしれませんが、エロいシチュエーションになると一気に漫画の空気が変わりだします。勢いがよすぎで百合漫画でもややハードな部類に入るのかもしれません。プラトニックな恋愛感情から結ばれるのではなく、まさに直球ですので、まぁ、その点が私のツボをついているのであって・・・そこが個々の好みとして分かれそうですが。

あ、ちなみにこの漫画の登場人物ですごくいいと思ったのが主人公の友人の谷口はるみです。あの子、すごくいい性格してる。ああいう屈託がなくて気さくで世話焼きな子って私好きだな。髪型がグー。

あと、気になった個所を。一巻56-57pになるのだが、主人公の藍原柚子が友人の谷口はるみに「ここの(主人公が通っている)学校の奴らって好きでもないのに女同士でもイチャつくの?」というような問いかけに、はるみが「恋愛というよりは一時的な性欲を満たす感じ」と話したのが実に印象深い。この「一時的な性欲を満たす」という本当の恋ではない疑似恋愛というか、インスタント的に手軽に即効的に済ましてしまう恋愛こそが「百合」ではないかという私の考え方にシンパシーを感じた。恋愛感情というよりも、お互いの美意識を共有できて、かわいく、美しくなる幻想を支え合える。互いにハッピーな気分になってテンションがあがる。百合というのは趣向を共有しているにすぎない。・・・とまぁ考えるわけで。百合とは決してアブノーマルな危険な禁断の領域とか、超えてはならない一線とかでは全くない。状況や環境によって性的嗜好なんて変わってくるともあるだろうと。レズビアンの恋愛を描いたアメリカのテレビドラマ「Lの世界」を引き合いに、「男といるより女と一緒にいたほうが楽しい」という内容から察すると、なにも女同士が性的行為という体を目的とした付き合いではなく、女友達以上の付き合いに一種の憧憬を抱く。ああ、もう回りくどくなったが、要するに百合というのは遊んでいるだけにすぎず、本気に人を愛していない、快楽だけを得たいがための人間のエゴの一部であると私は考える。だからと言って、それがいけないとか言いたいわけではない。そういう百合というのが好きな私がいるのだから。何故好きなのかは、固定概念化された「性=男と女」という構図を打ち破っている斬新さが興味を持つわけであり、そして何より女性しか持ち合わせていないかのような繊細な感受性といったものが存分に読み取れるのが百合というジャンルであると思うならば、その女性の感受性というものは男の私からしたら読んでいてアトラクティヴであり、かつ面白いから。

最後に、もし百合好きが純愛を望むか、性描写を望むかと言ったら、私は「手をつないでいるだけで体が熱ってくる恥ずかしい」といった感じの純愛のほうが好きだと思いますが、ヤッちゃったらヤッちゃったで「いいぞもっとやれ」と囃し立てるんですよね。悩ましさを帯びたものです。