寄らば大樹の・・・どこか2

その日その日感じたことを書いていくみたいな。たまに変なこと書くときもあると思いますが馬鹿だなと思ってスルーして下さい。

やはり噂通りだった映画「渇き。」

映画を見ても大したことなくても感動してもブログでそれを書いたりするのはしないのですが、この映画は何というか比喩を尽くして言えばヘドロのようなもんです。
それだけ私の感受性を揺らぎ起こした作品です。

中島哲也監督の作品の「告白」は優れている。何が優れているかというと、人間の内なる残酷性。人は知的な獣になることができるという根拠を直截的に示した点であると思う。人は幸福でありたいと思うのは当たり前だが、不幸であることもまたその人にとっては生きる活力になるというちょっと普通ではわからないような感情をスタッフロールが流れた直後にその映画に抱いた。一つの答え、感想は幸福を不幸で壊してしまえという破滅願望は凶悪犯罪者特有の思考であり、この告白という映画にはそれがある。だから恐ろしい映画だと思うし、一歩引いて考えると人間の業がこれほど歪むものなのかとそこが魅力的に感じたりもするのである。

私は楽しいことで浮かれているような映画はあまり好かない。どちらかというと負の感情を抱く映画が好きだ。

園子温監督も好きだ。映画「ヒミズ」の陰鬱な映像描写は、浮かれていて何も考えず、不幸を知らない世間知らずで、能天気で自分の好きなことにニヤニヤしてるだけのバカに是非見てもらいたい。日陰で暗闇で沈んでいる人間もいる。自分には関係ないからと光が当たる人間はそんな暗い奴を知るはずがない。不幸な人間には幸福な人間とは無神経なものだ。幸福ならばそれでいいやというこの神経、これが私は嫌いだ。光があれば闇もある。その二面性を知って初めて物事の本質をわかることができて、人間は慈悲深く成長できる。今の社会は不幸な人にとことん無神経だ。その無神経さをヒミズという映画は風刺している気がする。

・・・さて、前置きはさておき、この作品「渇き。」という中島哲也監督の映画は酷評されていた。内容はあまりにも残酷でグロいというもので、それが作品にあるだけで何もない空っぽな作品。要はバイオレンスで極限まで残酷に仕立てただけだとか。それでは80年代のB級スプラッターレベルと言いたい素振りから私は「本当にそれだけか? 作品をよく見てないんじゃないか?」と思っていた。なぜ残酷なのか? 残酷な表現は・・・猟奇的なインパクトだけで客に反応を与えるにすぎないのか。もっと人間の「こうだから」残酷で表現しなければいけない「何らかの」理由があるはずだ。それを読み取らなければ考えて映画を見ることには向いていない感受性ないバカな人なんだなと半ば軽蔑していた。

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この映画は大変酷い映画でした。私の想定を一気に崩壊させるほどの残酷さです。ただ単に残酷です。残酷だけで中身がない。本当に残酷なことして終わるだけの、その残酷をどう理解すればいいかわからなかった。犯罪心理にも根本にある人間心理にも結び付いては来ない単に残酷ならばいいいという描写。強いて言えば人間じゃないな。あの残酷さは異生物のなにかである。それを演じる役所広司は鬼才的で恐れおののきました。もしかしたらこの役所広司の非人間的な残酷さの役者魂を私たちに訴えたかったこと? だとしたら役所広司は不世出であり、何物にも太刀打ちできない表現力を持つ俳優ではないか。この映画は役所広司が乗っ取った。私は日本一の俳優と呼んでしまおう。

人間はここまでグロくなれるという見せつけられ方をした。ただそれが私の想像以上なものだったので驚いただけ。この邦画、古今東西の中世拷問処刑(人を生きながら解体するようなおぞましいもの)を見せつけられているようなもんでした。人はこれだけ悪魔になれるというただ単にそれだけ。ホントそれだけ。つまり残酷すぎてそれだけ。ストーリーなんて空っぽ。ホント駄作。これをある程度評価してるのは「グロなんて平気だから俺スゲー」したいだけの厨二テイストな方たちだと失礼ながら思います。
まぁ、中身がないだけでも残酷さでは世界のアレらと比肩するのではないでしょうか。血を見るのが嫌い、暴力が嫌いという方には私は怒鳴り散らしてでもこんな映画は見せたくありません。卒倒者が出てもおかしくないからです。そして、この映像はちょっとやそっとでは忘れられないでしょう。監督自身もこんな映画つくるもんじゃないと言ってるくらいで、グロすぎてごめんというくらいだから。グロ耐性に自信あった私でもゲンナリしました。マジで下を向き吐きそうになり退席しようとしたほどです。なにか残酷さから人間らしさを見つけられていたら救われたと思いますが、この映画は血も涙もなく、そんなのがない。駄作なのだがそれにしても救われない・・・。

以上です。何にもレビューになれず、キャーキャー言ってるだけのバカブログです。そうなったのはこの映画があまりにも残酷だからです。肝試し程度で見に行かず、ある程度の覚悟が必要です。嘘つきませんよ、これは真面目です。

レビュー星5つで表すなら☆☆です。2つなのは役所広司の演技だけを評価してるただそれだけ。
まさに渇きという題名に相応しい、殺そうとしても殺そうとしてもその心は満たされない渇ききったその心のすべの苦しさ、辛さがよく表れている秀逸なタイトルではあるのかと思いました。こんな映画一つくらいあってもいいのかもしれないが荒んでくる。平和すぎる日本ですが、精神的に心は荒みますよ。それが安息ある平和ではない。こんな映画を見るくらいなら違う平和な安定した心を成長させるような作品を見つけようとしたほうがよい。
それを今度から私は求めます。

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