寄らば大樹の・・・どこか2

その日その日感じたことを書いていくみたいな。たまに変なこと書くときもあると思いますが馬鹿だなと思ってスルーして下さい。

デムーロに救われた秋の天皇賞

どうも最近競馬について何か言わなくなったね。それに今年の凱旋門賞についてのことも削除してしまった。あまりにも悔しかったからだ・・・。

ううん、別に競馬を嫌いになったわけではないよ。ただ・・・馬券を買わなくなったからとかで、それでブログで競馬を語ることは無くなっただけだよ。もちろん、トリプルティアラを達成したジェンティルドンナについては、ただ月並みな「おめでとう」と言うくらいならブログで綴ることもない。みんな同じ感想なんだから目新しくもないからとかで。そんな感じでレースを振り返る感想はブログで止めてきた。

それと馬券を買わなくなったのはいまだなおJRAの審議における裁決委員なるものの不振からくる嫌悪的馬券不買といったところだろうか。「なに意地になってんだ」と思われるかもしれないが、私は嫌な性格をしていて結構根に持つタイプなのだ(笑)。ならば地方競馬の馬券を買っていたのだが、「買わないと当たらない馬券よりも、買わなければ減らないお金」というスタンスになってきていること。つまりお金を馬券で使いたくない。同僚の貯蓄額を聞いたときがあったのだが、その額に自分の額のなさに嫌気がして貯蓄に励みたくなった。そしてお金を使わなくても楽しめる趣味があるから。読書、音楽とかレンタルショップで何かを借りてきて見たり、絵を描いてみたり、ネットで変な話題で一人盛
り上がったり、インドアを楽しんでいる。

さて、馬券は買わないけどテレビで観戦はする競馬。今年は天覧競馬ということをつい先週の土曜日まで知らなかった。競馬の話題はレース以外に知ろうとしなかったからだろうが、競馬を趣味に持っていた人間としてなんだか恥ずかしい。天皇賞天皇皇后両陛下が御訪問くださることは競馬がただのギャンブルうんぬんでは語れない兢惶、光輝あるべきものだと認識する次第だ。
私の予想ではルーラーシップが勝ちに一番近いのではないかと感じた。勝を得たエイシンフラッシュは距離的にもここは短く、叩いて次のジャパンカップだろうと勝手気ままに解釈していた。フェノーメノは陣営の勝手なのだろうが、天皇賞に出走するのに菊花賞のトライアルを使う根性があざとくて好きになれなかった。セントライト記念で4着の馬が菊花賞出走のチャンスを出走しないフェノーメノに奪われたとするならば、フェノーメノ毎日王冠にもしくは京都大賞典を使えと憤る。もちろんこれは私のきわめて個人的な考えなので肯定されることも特にない。

私はデムーロが大好きだ。あの陽気で明るい性格。それでいて日本競馬に対しては自分を殺さずに常に自分を貫くような、なんだかそんなカッコいいイメージがする。デムーロ日本ダービーを勝った折には「イタリアのダービーを勝ったことよりも10倍嬉しい」(たしか、こう言っていた気がする。断言できない)というような語りに「この騎手は日本が好きなんだな」と勝手にこっちから親日認定しているから応援したくなる(笑)。ヴィクトワールピサドバイワールドCを勝利した。表彰式で君が代が流れたときに目を閉じて下をうつむく仕草は、震災で多くを失った人々の心情を察してくれたようで何とも言えない気持ちになった。日本の競馬を世界に見せつけたデムーロの腕を私は最大級に褒め称えたい。そしてありがとうと・・・。

そんなデムーロを軽視していた。レースでシルポートが大逃げを打つもせめて中山だったらよかったのに。直線が長いし距離もこの馬には長い。直線ではシルポートはタレる。ならばどの馬が来るんだろう。

「ああ、フェノーメノか、いい手ごたえで好位でコーナー回ってきたからな。抜けだすなっ・・・あっ最内から一頭なんだ? エイシンフラッシュ? えっなんであんなに伸びるの? だって鞍上デムーロだもんなー! いいぞっ! そうだよ、天覧競馬で勝つのが相応しい騎手だよ」。エイシンフラッシュの末脚を復活させたその腕、まるで魔法をかけたような見事なものだ。

デムーロがゴール板を駆け抜けた。そのときのなんとも気持ちが爆発したような、あんなに派手なデムーロのアクション、その姿を私は忘れかけていた。凄い嬉しそう。今日が特別な天皇賞であることを十分に熟知していたからこその気持ちの表れであろう。かつてフランスのルメール騎手にサラブレの誌面で「勝ちたいレースは何?」と質問があった。そのときルメールは「日本なら天皇賞天皇陛下の目の前でレースを勝ちたい」と語っていた(たしかディープインパクト凱旋門賞に出走する前の号)。天皇賞を勝ちたいということよりも、天皇陛下が御訪問くださる天覧競馬で勝ちたいということだろうか。外国人でも伝わるものがあるのだろうと感慨深げに思ったものだ。世界の名だたる元首の中で特別な存在である天皇陛下の前でレースを勝つことは大変な誉であり騎手冥利に尽きるものだろう。そしてルメールの日本好きが見えてくる。

だったらデムーロも日本が好きだろう。ルメールのような気持なのではないだろうか。私は「デムーロなら天皇皇后両陛下に馬上からヘルメットをとり一礼するだろう。デムーロはそういう男だから」。しかしそれは私の思いを大きく上回るものだった。・・・それが規則を破ってまで馬から降りての最敬礼は度肝を抜かれた。それと同時にデムーロのそんな光景に目頭が熱くなった。その後の手を使ったラブポーズ、ブーンはご愛嬌。なんて男だろう。たしかに下馬してしまうのは規則やぶりだ。だが、そんなのはデムーロという人間的な魅力を語るうえでは水差しであり、これこそが彼の流儀でありそれを失くしてしまえというのはデムーロの魅力を削いでしまう。規則を破ってまでやろうとした度胸だ、いいじゃないか、あとはしっかり処分を受ければ。そんな度胸があるからああいう最内強襲ができるのだろうし第一、規則規則と凝り固まって大胆なことができない日本人騎手はデムーロにしてやられるんだと。松永幹夫元騎手は彼なりに規則にのっとって一礼した。デムーロは規則を破って一礼した。善悪の判断は分かれるところだが、私はどちらもその個々の性格がもたらしたものだと、それ以外特に問題とも思わない。それ以上に天皇皇后両陛下に敬意を示すその姿に心を打たれずにはいられない。

今まで競馬を見てきた中でなかなか感慨深いレース後の光景だった。おかげで競馬にドラマ性を見出すことができてなんとも気持ちがいいし、デムーロが勝ってよかった。デムーロは大好きな騎手だから、デムーロに救われたという今回のブログタイトルは単に安っぽい表現だと言ってしまっても構わない。

競馬への感動をありがとう
今度は馬券を買って応援したいですね